Introduction -イントロダクション-

マーケティングとは

「マーケティング」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?実は、マーケティングとい言葉に明確な定義はありません。関わる人の立場や経験、置かれた状況によって、その定義や見方は大きく異なるからです。「マーケティング研究者の数だけ定義がある」という皮肉もあるくらいです。最近は書店のビジネス書籍の棚で、売上を上げるためのHOW TO本などに「マーケティング」という言葉を冠している書籍をよく見かけます。それゆえ「商品やサービスを売るための法則=マーケティング」と考える人も少なくないでしょう。しかし、これまでの実務経験から言えるのは、マーケティングは“魔法の杖”のような絶対法則ではありません。むしろ、「試行錯誤を重ねながらビジネスの成功確率を高めていく思考術」と解釈するほうが有益です。ただ、闇雲に試行錯誤を行えば良いわけではなく、先人の知恵を借り、効率的に試行錯誤を繰り返すことが重要になります。ビジネスの世界では意思決定のスピードも成功のための重要な要因になります。

マーケティングは「野球の打者」に似ています。ヒットを打つために、打席に立つ前には相手投手のクセや投球傾向を分析し、打席に入ってからは実際の球を見ながら微調整しつつスイングします。それがヒットでも空振りでも、その結果を踏まえて次の打席に挑む。この「投手を理解する(理論)」と「バットを振る(実践)」の繰り返しは、マーケティングに似ています。消費者や市場をマーケティング理論を用いて理解し、価格をいくらにするか、生産量どれぐらいにするか、どういった商品を開発するか、といったマーケティングにおける意思決定を実践します。そして、その結果を蓄積して、次のマーケティングに活かしていきます

マーケティングは、理論と実践の両輪で成り立っています。どれほど理論を学んでも、実際にバットを振らなければ結果は出ません。一方で、理論を知らずに闇雲にスイングしても、ヒットの確率は上がりません。たまたまヒットになることもあるかもしれませんが、継続はしないでしょう。大切なのは、この理論と実践を行き来しながら「何を考え、何を知るべきか(理論)」を理解し、「どのように意思決定すれば成功確率を高められるか(実践)」を学ぶことです。相手投手を理解することは重要です。ただ、情報を集めるだけでは意味がありません。たとえば、投手の家族構成を知ったとしてもヒットにはつながりません。それよりも、変化球の特徴や配球パターンを理解する方が、はるかに有益です。これが「理論を知る」ということです。ただし、理論を知っているだけで必ず成功するわけではありません。状況やタイミング、感情、環境など、すべてが同じ条件になることはありえないからです。それでも理論を基盤に、与えられた条件や環境を考慮しながら理論をアップデートし、最適と考えられる意思決定を重ねていく。マーケティングとは、その試行と学習の連続になります。それゆえ、マーケティングを学ぶ場合も「理論」と「実践」の両輪を意識することが重要となります。

ゼミの特徴

増田研究室では、上記で説明している「理論と実践の両輪」を重視する指導を行います。3年時には、マーケティングおよびマーケティング・サイエンスの基礎理論を学びつつ、企業とのPBL授業やコンペティションへの参加を通じて実践を行います。そして、4年次には3年次の経験を通じて感じた興味や疑問をテーマとして理論のアップデートを想定した卒業論文の作成を行います。そうして自分のマーケティングを確立する力を養ってもらい、社会で活躍してもらいたいと思っています。

プログラミングについて

プログラミングができるに越したことはないですが、それ以上にゼミで大切にすることはマーケティング課題を設定し、それに対してより良い意思決定を行うことです。データ分析はあくまでツールです。それゆえ、ゼミでは基本的に分析ツールを問いません。プログラミングが苦手でもBIツールを使って多変量解析などを取得してもらいます。とはいえ、生成AIが普及してきたからといってプログラミングスキルがあるに越したことはないです。ゼミではプログラミングも学びたいのであればPythonおよびRの指導も行いますし、必要に応じて生成AIプログラミングも環境構築から学ぶことが可能です。希望次第でどちらでも対応します。

ちなみにPythonとRは状況によって使い分けるのが好ましいです。データや分析の解釈が必要な場合はR、機械学習やシステム実装などを想定する場合はPythonを利用します。

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